「ハア……ハア……っ」
雨の中を、ひたすらに走る。雨に濡れた制服が私の足を重くしていく。
美憂は周りをいつも笑顔にさせていたのに、私は周りから笑顔を奪う天才だ。
ごめんね。たしか、あの日もそうだった。
*
「あれ、高木さん?」
ふたりでコンビニに行くために歩いていた時、美憂と同じ学校の人と会ったことがあった。クラスメートだという友達は「今日は小暮くんとデートじゃないんだ~」なんて言いながら近づいてきて、おのずとその視線は私に向けられた。
「えっと、高木さんの友達?」
癇に障る聞き方だった。その時の私の格好はスウェットで、髪の毛も水で撫で付けただけの、だらしない姿だった。
「ううん。私たち双子なんだ」
うまく誤魔化してくれたらよかったのに、美憂はなんの悪気もなく、私を妹として友達に紹介した。
「え、双子?」
「あ、あんまり似てないね……」
友達は言葉を選びながら、気まずそうにしていた。私に心を読む力はなくても、なんて思ってるかくらいは想像がつく。
高木さんの妹なのに、可愛くない。
高木さんと双子なのに、こんなに違うの?
そういう感想が、顔に貼り付けられているみたいだった。それなのに美憂は、どこまでも能天気に、私のことを紹介し続けた。
「私たち似てないかな? たしかに和香ちゃんのほうが目は大きいし、身長も私より一センチ高いよね。あと和香ちゃんって、すごく料理が上手でなんでも美味しく作れちゃうんだよ」
……やめて。
「だから、和香ちゃんは私の自慢の妹なんだ!」
……やめてってば。
美憂が褒めてくれるほどに、私は恥ずかしくて、逃げたくて、たまらない気持ちになった。



