こんなことを言ったら怒られるかもしれないけれど、俺には救いがない話に思えた。それによって待ち望んだ雨が降り、町の人が喜んだとしても残された恋人はどうなる?
大干ばつから解放される代わりに、恋人が枯れるまで泣けってことなのか?
そもそも、女の子が雨のために身を捧げなければいけなかった理由とは?
言い伝えという類いのものに、理論を求めてはいけないとわかっていても、納得できないことのほうが多かった。
『……私が死んでも、やまない雨みたいに泣いてくれる人がいるのかな』
美憂は灰色の空を見上げながら、ぽつりと呟いた。
この時の俺は、彼女がいなくなる未来なんてあるはずがないと思ってた。
きっと美憂だって、残された俺がこんなにも未練がましく前に進めていないとは思っていなかっただろう。
――好きな人を想って泣き続ける涙が雨になる。
この町で起きている現象は、やっぱり水飴症候群なのか。それを確かめる術はない。
この涙は、いつ枯れるんだろう。
この悲しみは、いつ消えるんだろう。
この雨は、いつやむのだろう。
いつになっても俺は、美憂という存在を探してしまう。



