紫陽花が泣く頃に



あおちょーは路地を挟んだ奥にあり、外観は木こりの家みたいだった。どうやら童話の『青い鳥』に出てくる家を真似してるらしい。

店内は人がすれ違えないほど狭かった。なのにシールやレターセット、アイドルグループのグッズもたくさん陳列されていた。まるで建物自体が宝箱になっていて、ぎゅうぎゅうに宝物が詰められているような感じだ。

「妹のプレゼント、なにがいいかな?」

高木さんは色々と品定めをしながら、文房具コーナーの前で足を止めていた。中腰になって見ていたのは小さな消しゴムが入れられた透明の小瓶。

「どうせなら実用性があるほうがいいんじゃないの」

俺が手に取ったのは、消し丸くんと書かれた消しゴムだった。消しカスが出ない消し丸は俺の愛用品でもある。

「消し丸くんをあげて喜ぶと思う?」

「ギャグと受け取ってもらえればギリいけるかも」

「千紘くんって兄弟いる?」

「いない。ひとりっ子」

「なんなくそうかなって思ったよ」

高木さんは可愛いイラストが書かれたメモ帳の柄をパラパラとめくって確かめている。だったらやっぱり俺じゃない人と来たらよかったのに。高木さんと話すこと自体今日が初めてなのに、その妹の誕プレを選んでと言われても……俺には難易度が高すぎる。

「どんな妹さんなの?」

何気なく聞くと、彼女の表情が輝いた。まるでこの質問を待っていたかのように。

「妹はね、私と正反対の性格なんだけど、すっごくしっかりしててがんばり屋さんなんだ。少し素直じゃないところもあるんだけど、私はそこも可愛いと思ってて大好きなんだよ!」

「へえ、仲よしなんだ」

「私が離れられないだけなんだけどね」

この溺愛ぶりは一回りくらい歳の離れた妹なのかなと、勝手に想像していた。