駅に着くと高木さんは迷わずに南口で降りた。殺風景なロータリーにはタクシーが一台停まってるだけでなにもない。本当にこんなところに、女子が通うような店があるんだろうか。
「なんか千紘くんと並んで歩いてるのって不思議な感じがするね」
「その言葉は、そっくりそのまま返すよ」
高木さんの身長は女子の平均くらいで、俺のほうが若干上だけど、コンクリートに映る影の高さはほぼ同じ。そのシルエットだけ見ると、俺も女の子みたいだった。
「なんで……プレゼント選びに俺を誘ったの?」
「友達はほとんど部活だし、クラスの男子と二人きりで出掛けるって、ちょっと抵抗があるでしょ?」
「俺も一応男なんだけど……」
「あ、千紘くんのことを男の子だと思ってないとかじゃないよ。普通に千紘くんはいい人だし、私的には他の人とは違う認識っていうか……うーん。うまく言えないんだけどそういうことなの」
「……俺がいい人なんて、なんでわかるの?」
しつこいと思われても、到底納得はできなかった。俺には高木さんが適当なことを言ってるようにしか聞こえない。
「わかるよ。だって千紘くんは毎日金魚にエサをあげてるでしょ? 生き物係でもないのに」
たしかに俺は教室にいる金魚のエサやりをしていた。誰かに頼まれたわけじゃない。ただ生き物係のやつがしょっちゅう忘れるから、なんとなく代わりにやってたら、いつの間にか習慣になってしまっただけのこと。
でもそれを高木さんが知っているとは思わなかった。
「実は千紘くんがいつも朝と放課後にやってるのをこっそり見てたんだ。偉いよね」
「べつに。誰かがやらないと金魚が死ぬし」
当たり前のことを言っただけなのに、高木さんはとても嬉しそうな顔をした。
「私ね、そういう命の大切さがわかってる人って一番信用できると思ってるんだ」
彼女が瞳を細めて笑った。少し心臓が高鳴ったのは、高木さんの笑顔が可愛いよりも綺麗だったから。



