紫陽花が泣く頃に



「それで、今度こそ目的地を教えてもらえる?」

「ああ、うん。あのね、花ノ咲(はなのざき)に行こうと思ってます」

花ノ咲はここから五つ先の駅だ。正直わざわざ行くほどの町ではなく、学生たちが楽しむ場所と言えば三種類のスライダーが楽しめる花ノ咲プールくらいだ。でもまだプール開きはされてないし、そんなところに俺を連れていく理由もない。

「もうすぐ妹の誕生日だから、プレゼントを買いたくて」

「プレゼントって……買えるところなんてあったっけ?」

「え、千紘くん、あおちょー知らないの?」

「あお、ちょー?」

詳しく話を聞くと、最近花ノ咲に『青い鳥』という雑貨屋ができたらしい。それを女子の間では〝あおちょー〟と呼んでいるそうだ。

「可愛い雑貨がいっぱいあるんだよ」

「ふーん」

だったら、可愛いものがわかる人と一緒に行けばいいのに。俺は女子の流行りを知らないし、女子が好きなものもわからないから、協力できることもないと思う。