紫陽花が泣く頃に



迎えた放課後。雨が降りやまなくなって、ほとんど夕焼けを見ることはなくなった。私は昇降口に置かれた傘立てからビニール傘を一本取った。

今日、あの薄ピンク色の傘は持ってこなかった。

――『その傘って……美憂のじゃない?』

またそうやって絡まれるのが嫌だったからだ。

傘をさして外に出ると、すぐに大きな雨粒に打たれた。つゆ先に溜まっていく雨は、ぽたりぽたりと地面に滴り落ちている。

そういえばこのコンビニの傘は399円だった。ビニール傘は割高とわかっていても買うくせに、クラスメートのプレゼント代には協力しない。そんな私はやっぱり薄情なんだろうか。

通学路の途中で咲いている紫陽花。赤く色づいた花の上でカタツムリが元気に首を長くしている。カタツムリは塩をかけると縮む、なんて言うけど、このしょっぱい雨の影響は受けないのかな。

指先で優しくツノを突っついてみたら、カタツムリは身を隠すように首を引っ込めてしまった。

雨が、うるさい。

でも、晴れてほしいとは思わない。

もしあの子が言っていた話のとおりなら、この雨は――私のせいかもしれない。

胸に押し寄せてくる罪悪感。私は雨から逃げるようにして、駆け足で帰った。