紫陽花が泣く頃に




このねじ曲がった性格は今に始まったことではない。昔から大人びていて可愛げがないと言われることが多かった。

みんなが笑っているから、笑わなきゃいけない。

みんなが悲しんでいるから、悲しまなきゃいけない。

そういう同調を求められる空気が苦手でたまらない。

だから私はみんなが泣いている時に、一緒に泣けない。

〝あの子〟が旅立った時でさえ、涙を流さなかった。


「おい」

廊下を歩いていると、図体がでかい男に行く手を塞がれた。

「この前のこと忘れたわけじゃねーよな。早く慰謝料払えよ」

脅すように言ってきたのは、隣のクラスの菅野だった。菅野はなにかと私に突っかかってくる。自分の都合だけで誰かを嫌いになるというのは、私にも当てはまることだから、そこに関してはああだこうだと言うつもりはない。

でも菅野はわざと体をぶつけてきたり、こうして急に現れて上から目線で物を言ってきたりする。

「なにか言えよ、柴田」

だったらこっちだって、それ相応の対応をするだけのことだ。