窓の向こうからは、変わらず雨の音だけがする。いらない雑音を消してくれても、この悲しみだけは消してはくれない。
雨が好きだと言っていた美憂。でも町を日に日に寂れさせていくこの雨のことはどうだろう。
それが俺の涙だと言っても、きみは好きだと言ってくれるだろうか。
『誰それ、知らない』
美憂の顔と交互に、柴田のことが思い浮かんだ。素っ気ない態度をしながらも、柴田は明らかに動揺していた。
美憂と同じシャンプーの香りを漂わせ、美憂が好んで飲んでいたオレンジジュースを選び、美憂が持っていた傘を使っている柴田。
……偶然、だよな。
いや、三つも類似点が見つかったら、それは偶然とは呼べないのか?
バシャンッ。柴田が足早に帰っていった時の水しぶきを思い出す。まるでなにかを隠すように、まるで俺から逃げるような柴田の瞳は……美憂の面影と重なる部分があった。
そんなはずはない。気のせいに決まってる。
そうやって心で言い聞かせても、しつこいくらいに考えてしまう自分がいた。
「あーくそっ!」
よくわからない苛立ちを叫びながら、俺はベッドに深く沈んだ。



