最終日のテストが終わった。クラスメートたちは解放された喜びに満ちていて、答え合わせを兼ねたお疲れ会をやるようだ。そんな中で、私はそそくさと帰る準備をしていた。
「テストどうだった?」
私と同様にお疲れ会には誘われない小暮も、すでに帰り支度を済ませている。
「あんたの教え方に間違いがなければ、多分いい点数は取れてると思うよ」
「そう言われると自信なくなるんだけど」
昨日の図書室で少しだけ彼に勉強を教えてもらった。小暮の教え方はわかりやすくて丁寧だった。
私たちは自然な流れで、一緒に昇降口に向かった。彼との距離は以前よりも近い。
大切な人を失ったこと。今よりも過去に囚われていること。癒えない傷を抱えていること。誰にも話せなかったこと。話そうとしなかったこと。
私の苦しみを、世界中で小暮だけはわかってくれるような気がした。
「もうあの傘は差さないの?」
私がビニール傘を差したところで、そんなことを聞かれた。
差さないの、なんてどの口が言ってるんだか。あのピンクの傘を差しづらくさせたのは小暮のせいだっていうのに。
「この雨がやんだら差すよ」
おかしなことを言っているのに、彼はその意味を理解しているようだった。



