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――『美憂は柴田のことばっかり話してたよ』
私の前でも美憂は小暮のことばっかりだった。もしかしたら美憂は……私たちの架け橋になろうとしてくれてた?
聞きたいのに、もう会えない。
私は美憂が天国に行くまでの間、一度も病院には行かなかった。お父さんから『行きなさい』と言われても、あれこれと理由をつけて先延ばしにしてた。
美憂の顔が見たくなかったわけじゃない。私がどんな顔で会いに行ったらいいのかわからなかったのだ。
それでも、明日は行こう。いや、明後日には。週末に少しだけ……。
そうこうしてるうちに、お母さんから連絡が入った。嫌な予感がした。おそるおそるスマホを耳に当てると、お母さんは泣いていた。
『美憂が、美憂が……っ』
美憂は誰もお見舞いに来ていない時間に息を引き取った。お母さんでも、看取ることができなかったらしい。
私はそれを聞いて不謹慎かもしれないけど、あの子らしいと思った。美憂は最後まで苦しい顔を誰にも見せずに逝った。死んでしまった美憂は、まるで眠っているように綺麗な顔をしていた。
私は、美憂の病気を理解していた。だけど、たったの十五歳で死んでしまうとは思ってなかった。
生まれる前から一緒だったお姉ちゃん。
いつも鬱陶しいぐらいひっついてきて、なにをするにも和香ちゃん、和香ちゃんって頼ってきた。私がいなくてもしっかりしてよって思ってた。いつまでも一緒にいられるわけじゃないんだからねって何度も突き放した。
だから美憂から離れていくのは、私のほうだと。美憂が私から離れていくことなんて……これっぽっちも考えたことはなかった。
美憂さえいなければって思ってたくせに。
美憂に汚い感情ばかり抱いていたくせに。
今さらどうしようもなく寂しくなっている私を、どうか許さないでほしい。



