「それであの幸希先輩!」
「どうしたの?」
「あの…15日なんですが……一緒に過ごしませんか?」
僕も思いっきって聞いてみた。
予約入れておかなきゃ幸希先輩人気だから。
他の人にとられてしまう。
でももう誰かと約束…しちゃったかな?
しちゃったよね、幸希先輩だもん。
「遅いよ、誘うの…」
ボソッと言った幸希先輩。
「え?今なんて……」
「ううん、なんでもない!」
僕が聞き返すとそう笑って言った幸希先輩。
そんなに重要なことではないのか?
「じゃあ15日楽しみにしてるね」
「え?いいんですか!?」
今度はちゃんと聞こえた。
了承して貰えた。
夢なのか?
僕は頬っぺをつねった。
「痛い……」
夢じゃない…?
「全く君は…見ていて飽きないな」
ふふっと可愛らしく笑う幸希先輩。
「褒めて貰えて光栄です」
僕がそう言うとすかさず幸希先輩は……。
「褒めてないよ」
と言った。

こんなたわいのない毎日でいい。
だから何も起こらないで。
幸希先輩と笑っていられるだけで満足だから。
だから何も──何も奪わないで。