カチャッ。パタン

 部屋の外で、ドアを開ける音が静かに響いた

 「ふぇ、何時?」

 腕時計を見ると、23時過ぎ

 「皇にぃ、帰ってきた?」

 皇兄が帰って来るのを音で分かるように、部屋のドアを数センチ開けておいた

 私には、確かめなければいけない事がある

 ここ、2日ばかし私の体調がおかしい
 きっかけは偶然、皇兄のキスシーンを見てしまったから

 皇兄の姿を見ると、心臓が激しく打って、熱くなって、身体に蕁麻疹が出るようになった
 
 変な病気になのではないかと、同じ症状の生徒会長さんに相談すると

『それは病気やのうて、恋心が原因なんだと、気付き』
                 
・・・・と言われてしまう

でも、でも
そんな事、あるはずが無いの

だって、その相手が1つ上の兄・皇兄なのだと気付かされて・・いや、私は認めてなくて

 だから、これが恋ではないと言う事を
 
 今夜 私は確かめる

いつまでも皇兄を避けるのにも限界がある

早く、元に戻りたい



 ベットから起き上がり、部屋を出て、皇兄の部屋の前に立ち尽くした

 ノックしようとする手を止めて、肩から息をついた

 これが、恋なのか試す方法を会長さんから、伝授してもらった

 それは、ごくごく簡単なこと
 
『恋していると思う相手の顔を、5分見ること』

 聞いたときは、『なーんだ。それだけ』と思った

 だって、要は皇兄の顔を見るだけでいいってことだよね。ご飯を食べる時だって、皇兄はテーブルの向かいだもの

「うーん。やっぱり、今更だよなぁ」

 ポリポリと頭をかいて、首をひねる

 用もないのに、皇兄に会って、じ~って顔を見つめるの?

 それとも、『5分だけ顔を見てもいい?』て聞く?

 それこそどっちも、不自然

 皇兄の事だから、当然『なんで?』と尋ねて来るに違いない 

 まさか・・『恋しているかどうか確かめたくて』とは言えない

 それに昨日、私を心配してくれた皇兄を撥ね付けた

もう、『見守ってくれなくていい』と言いと一方的に私から言ってしまったから


だから、正攻法で皇兄に会う事は出来ない

 顔を見るのって、起きてる時じゃなくても大丈夫だよ・・ね?

 取り合えずそう納得し、皇兄が眠ってから実行に移そうと、部屋に逆戻りした

今夜、ちゃんと確かめて、皇兄に謝れたらいいな

そしてちゃんと伝えないと

私は本当に大丈夫だから、彼女さんを大事にしてあげてって