斜め前の遠藤君。

「遠藤君、それって本当? 罰ゲームとかじゃなくて……?」
「もう今まさに罰ゲーム状態だよ! 待って、今の全部なしにして。マジで本気でやり直すから、とりあえずオトモダチからよろしくお願いしますっ」

 遠藤君は勢いよく頭を下げた。 

「え? それってわたしとは付き合えないってこと?」

 天国から地獄に落とされたみたいだった。遠藤君が目を丸くしてる。それでも目の前が真っ暗になって、あふれる涙をわたしはどうしても止められなかった。

「ご、ごめっ、泣くほど嫌だったなんて」
「ちがう。わたしも前から遠藤君がす」
「ひえっ、ちょ、ちょっと待って……!」

 いきなり口を塞がれて、びっくりしすぎて涙が引っ込んだ。

「な、なんで止めるの……?」
「こういうのは男から言わないと」
「何それ、何時代の話?」
「いや、だって一生に一度の話じゃんか」
「どういう理由?」

 思わず笑ってしまった。涙の残るわたしの肩を抱き寄せて、遠藤君はもう一度真剣な顔をする。