こっち向いてよ、佐久間くん。

「そうなんだね。じゃあ、梓って呼んでもいい?私のことも舞さんじゃなくて舞って呼んでよ」

「もちろんです…!!よろしくお願いします、舞ちゃん!」


わ、もう友達が1人できちゃった…!!!


「その敬語もいらないよ。距離感じるから」


「あ、ごめんなさ…いや、ごめんね!改めてよろしくね、舞ちゃん…!!同じクラスでとっても心強い!」


「ってか、席も近いしね」


そう言った舞ちゃんは私の斜め前の席に座った。


「舞ちゃん、席そこなの?!うれしい…!!」


「座席表見た時はびっくりしたけど。出席番号順じゃないんだね」


「そうだね…なんでだろう?」


『新入生のみなさん、まもなく教室にて新入生オリエンテーションを行います。各自教室に戻り、席にお座りください」


無事友達ができて、席も近くになれて、高校生活は佐久間くんのことを除けば順調に進んでいく…はずだった。


その時の私は目の前のことに精一杯で、周りのことが見えてなかったんだ。