まるで、高級ホテルのスイートルームを頭に浮かべてしまうほど、豪華絢爛という言葉が相応わしい部屋には、緊張が漂っていた。

金や宝石で飾られた調度品の数々に囲まれた部屋の中央には、玉座を思わせる真紅の椅子があった。そこには恰幅のいい黒い服を着た男性が座り、目の前にいる男性二人を睨み付けている。

「イエティ、キョンシー、お前たち何をしたのかわかっているか?」

ここは犯罪組織・Cerberusのボスの部屋である。幹部であるイエティとキョンシーは顔を上げ、ボスを見つめる。イエティがニコリと笑いながら言った。

「中学校を襲撃して、政治家の息子とeagleの人間を殺そうとしたことでしょ?僕が指示したからね〜」

そう言い終わった刹那、イエティの体が地面に勢いよく吹っ飛んだ。ボスがイエティのことを思い切り殴り付けたのだ。

「やっぱりお前か!!」

ボスは唾を飛ばしながら顔を怒りで赤く染め、隠し持っていたナイフを取り出す。キョンシーが慌ててボスの腕を掴んだ。