そのまま城内君は告げる。
「矢田さんは辛い思いをしたんだ。
俺が古傷を大きくしてもいけないだろ」
何を言っているのか意味不明だ。
だけど、私のことを考えてくれているのが分かって嬉しかった。
私の高校時代を知っても、嘲笑ったり馬鹿にしたりしない。
むしろ庇ってくれる城内君は、本当に優しいと思う。
私は告げる。
「城内君は古傷を大きくするなんてこと、ないよ。
あの人たちとは全然違うよ」
そう言うと、
「ありがとうございます」
なんて言いながらも、彼は辛そうな顔をするのだった。
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