「確かに橘君だけいつも無傷で帰ってきますが、彼に言わせれば運が良かっただけらしいです。
それに、いつも橘君だけじゃ不公平です」
橘さん……無傷なんだ。
でもそれ、上司の言う通り、本当に運が良かっただけだろう。
そんなに橘さんばかり犠牲になっちゃ可哀想だ。
隣で城内君が不服そうにため息をつく、そして告げた。
「それじゃ、やっぱり一人で行きます」
それは……駄目だよ。
城内君、死んでしまうかもしれない。
もし、死んでしまうのなら……
「私、行きます!!」
震える声で告げていた。
「いっ、行きます!!」
私は足手まといになるかもしれないけど、警察を呼んで城内君を守ることくらいなら出来るかもしれない。



