城内君は見事な球を投げきり、攻守交代だ。
先輩たちとハイタッチし、例外なく私にも手を差し出す。
その大きな手と手を交わし、また胸がどきんと言った。
私なんてグローブを持って突っ立っていただけなのに、
「矢田さん!やりましたね!」
なんて、さりげなく仲間に入れてくれたりして。
そして……春田さんは見事な球を打ち、城内君もヒットを連発する。
もちろん私は三振で、先輩からは邪魔な目で見られているかもしれない。
だけど城内君は、
「大丈夫ですよ!
僕がカバーしますから!」
元気付けてくれる。
「本当は嫌なのに、矢田さんは出てくれるだけで100点です!」
そんなにも、私を甘やかさないで。
思わせぶりな態度を取らないで。
好きになればなるほど辛い恋だから。



