胸がうるさい私の後ろに、いつの間にか橘さんがいた。 そしてにこやかに告げる。 「矢田さん。城内は寂しい人だから、これからも一緒にいてあげて」 あー、相変わらず癒やしだ、橘さん……ではなく、この人こそヤバい人なんだ。 どぎまぎする私を見て、 「ちょっと橘!?矢田さん怖がってるだろ」 城内君が言う。 「こっ、怖くないですよ!!」 分かってる。 橘さんは城内君みたいに、今はとってもいい人だ。 それなのに橘さんは 「辛いね、それ」 なんて笑って流す。