随分暖かくなった日差しの下、私たちはソフトボールの練習をした。
不慣れな姿勢でバットを構える私に、城内君はそっとボールを投げる。
明らかに手加減されたふわっとした球なのに、それすらバットに当てることも出来ない。
不恰好な私を見て、城内君は笑うのかな、なんてズキッとする。
だけど彼は決して私を馬鹿にせず、丁寧に教えてくれる。
「城内君はソフトボールも出来るの?」
思わず聞くと、
「人並みには出来ますが、智樹には負けますよ」
困ったように言う。
「あと、運動神経抜群の橘にも」
橘さん……あんなにほんわかしているのに、元ヤンで運動神経抜群だなんて。
人は見かけによらないとつくづく思う。



