男子校のお姫様は総長に甘く迫られました

「あ、楓鈴来た」

耳を済まさなくとも聞こえる楓鈴たちのバイクの音


「姫ちゃん、俺もう覚悟決めたから」

そういう裕真の目は寂しそうだった

"助けてくれ"そう叫ぶかのように


「鮎川、久しぶり」

「おい、姫華はどこに」

幹部室を出る時、クラスメイトのふたりにとめられたけど私はそれを振り払って階段を駆け下りていく


「鮎川くん!」

「姫華?」

「私は何もされてないけど、裕真はもう覚悟を決めたらしいんだよね」

だからといってボコボコにしてもいいってことじゃないけど


「もう俺の事ぼこすなり、首締める程度なり、何でもして。俺だって本当は終わらせたい。けど、存続のためって言うのが大きくて」


「お前の言いたいことはわかった。だけど、誘拐をした2人はどこに」


私が指を指すと、鮎川くんが低いドスの効いた声を出した