ついに放課後になってしまった。
雪城くんに渡すタイミングなんてなかった…、だって常にだれかがチョコレートを渡しているんだもん。
だけどこの私にも、チャンスがやってきた。
雪城くんが、教室で一人きりになっているのだ!
そっと近づき話しかけようとしたら…、
「ミントっ!」
慌てた様子のシュガーちゃんが大声で私の名前を呼んだ。
「どうしたの…?」
何を慌てているの、と思いながら聞く。
雪城くんもこっちを不思議そうに見ている…気がする。
「みかんとまっちゃのチョコレートが先生とほかの女子生徒に…取られましたのっ」
えっ…、驚いてしまう。
先生に取られるのはわかるけど…、どうして女子生徒?と思ったが、理由はすぐに分かった。
二人は恨みを買っているんだ、だって紫崎くんも黄ノ宮くんも人気だから。
「と、取り返しに行こう」
今の私は取り返しに行くことだけしか考えていなかった。
職員室にいると聞き、急いで向かおうとする。
「まって、僕も協力するっ」
雪城くんがそう言ってきてくれた。
もう理由を考える余裕なんてなかった、二人が心配だ。
これはバレンタインデーの…、チョコレート戦争だ。
敵は先生と女子生徒、絶対チョコレートを取り返す。
心の中で決意し、私たち三人は職員室に向かった。