『side』バニラ
僕、雪城バニラはこの世でバレンタインデーが一番大嫌い。
いろんな女子にかっこいいと言われ、毎年トラック二台分のチョコレートをもらって…正直うんざり。
でも今年は…ちょっぴり楽しみ。
同じクラスの、春風ミントちゃんからチョコレートをもらえるかもしれないから。
僕は、チョコレート学園の校則があってよかったと、初めて思った。
ミントちゃんに恋をしたきっかけは…女子に追いかけられて逃げているとき、階段でつまずいて転びそうになった。
その時、後ろから抱き寄せてくれた。
最初はアピールが大胆!だなんて思ったけど違った、普通に僕を助けようとしていたんだ…。
大丈夫、と笑顔で聞いてくれて…心配してくれて嬉しかった。
心臓が締め付けられるように苦しいこの気持ち。
心臓がドキドキして破裂してしまいそうなこの気持ちを、恋だと理解していなかった。
この出来事があった後も、話しかけようとしたけど緊張して無理だった。
ある日、友達のぶどうとライチ、あとレモンにこの気持ちが何なのか聞いてみた。
すると、三人そろって…恋と言った。
ぶどうは彼女いるし、ライチは許嫁がいるから恋だと信じることができた。
それから、ずっとチョコレートをもらいたいと陰ながら努力してきた。
今のところもらえていない。
いっそのこと、自分からもらいに行こうか…と考えたりもした。
でも恥ずかしくて無理だったけどね。
チョコ、もらえるといいな…っ。