「ミント、シュガー、まっちゃについてわかっているけど、誰にチョコ渡すの?」
お決まりの質問をしてきた。
「えっと…」
私が答えにくそうにしていると、シュガーちゃんがこう、言った。
「わたくしは、岩清水様にお渡しするの…ですわ」
岩清水ライチくんはシュガーちゃんの許嫁で、ずっと片思い中。
水色の髪に青色の瞳、性格はクールでしかも学年の中で三番目に人気…。
でも、知っての通りシュガーちゃんと許嫁だから…誰も手を出していない。
それもあって雪城くんが余計にモテている。
この流れで私が言わないのはまずいから、勢いで言うことにした。
「ゆ、ゆき…」
「あー、ちなみにあたしはわかっているとは思うけど…レモンに渡すよ。義理でね、義理だよ」
せっかく勢いで言ってしまおうと思ったのに、みかんちゃんの声と被ってしまった。
みかんちゃんが渡す相手は、黄ノ宮レモンくん…幼馴染だって。
レモン色の丸っこい髪形に、赤紫色の瞳の男の子。
学年で四番目に人気で、ちょっぴりシャイ。
私は…レモンくん、絶対みかんちゃんのことが好きだと思う。
早く、くっついちゃえばいいのに…。
「まぁ、みかんが黄ノ宮さんに渡すことなんてわかっていましたから」
さすがシュガーちゃん…っ!
レモンくんが逆チョコ渡すかな~なんて、考えていたよ。
さあ、ついに私のターン!絶対言うぞ。
「ゆ、雪城くんに渡すんだ…っ」
雪城くんのことが好きって誤解されないといいけど…。
「ミントさん、雪城さんに渡すのですか…!」
「そうですの?」
「まじで!」
みんなが驚いている。
この流れのなか、誤解を解くことなんてできなかった。