そのギャップは、恋の始まり!?

「なんで逃げんの? 教室に用事あって来たんじゃないの? わざわざこんな休日に」

「まぁ……はい……」

「だからなんで敬語。……別にいいけどさ」

 なんて言って、西宮くんは頬を指でかいた。

「あの……」

 ほぼ2メートル先に推しが……しかも私服で……目の前にいるなんてこと、現実にあるとは思えない。
 やっぱり、夢……?
 でも、さっき会話したような……。

「あのさ、井上さん……だっけ? ひとりで百面相してるとこ悪いけど、俺……教室から出たいんだよね」

「あっ、ごめんなさい!」

 私は慌てて、出入り口から退いた。
 彼は私に近づいてきたわけじゃなく、教室から出ようとしていただけだったようだ。

 推しフィルターがかかってるせいか、都合よく「自分に近づいてきてる」なんて思ってしまった自分をぶん殴りたい。