「恋雪、危ない!!」

グイッとあの日みたいに手を引かれる。ブロロロロ、という大きな音が耳に聞こえて、その時初めて僕は赤信号なのに道路に飛び出してしまいそうだったことに気付いた。

「この馬鹿!!死ぬ気かよ!!」

初めて会った時のように怒鳴られる。僕は、まだ涙が止まらなかった。まだ、悲しかった。

「だって、僕がいたら星来さんが迷惑で……」

「あたしがいつ、あんたに「迷惑」って言ったんだよ!あんな奴らの言うこと、間に受けてんじゃねぇよ!」

あの人たちは、星来さんの友達ではないらしい。同じバスケ部に所属していて、試合のレギュラーに自分たちだけ選ばれなかったのが悔しく、あんな風に嫌味を言ってくるのだそう。

「今までは何を言われても、「はいはい」って流せたけど、今回のは本気で頭にきた。好きな男をこんな風に言われて、黙ってられるか!!」

「えっ……」

今、星来さんは何て言った?好き?僕のことを?