「最近…この学園に不審者が、多数目撃されている」

授業中、熊五郎は生徒達に注意を促していた。

「昨日も、学園の外だが、自動販売機や、選挙ポスターが破壊されるという事件が起こっておる!十分、注意するように」



「どうして…運ちゃんがたこ殴りにされてるのよ!ミウちゃん!早く助けてあげて!」

熊五郎の話より、携帯小説に夢中なあたし。

「げっ!敵が二人に増えた!」


「何をしている?」

あたしは、隣に立つ影に気付かず、普通に答えた。

「今、ミウちゃん読んでるんだから、邪魔しないでよ!」

「ミウって何だ?」

「知らないの?遅れてるわ!野いちごで大人気の携帯小説!時雨天使ミウを!越前のHPで、絶賛連載中よ!」

「知らんな」

「知らないなんて、馬鹿じゃない!あんたも、ミウちゃんに洗浄されちゃいなさいよ」

「そうか…。俺が知ってるのは、授業中に携帯を見てる馬鹿だけだ」

太く毛深い手が、あたしから携帯を奪った。

「え?」

あたしが顔をあげると、熊五郎が立っていた。

「お前が洗浄されるか?」





「ご、ごめんなさい!」


あたしの携帯は没収された。

「放課後まで預かっておく」

熊五郎の言葉に、あたしは激しく肩を落とした。

「ミウちゃんが…読めない」


腹いせに、あたしは休み時間…月影ロボのコンセントを抜いてやった。




第三話【闇夜の刃】スタート!