これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





「こんなの無駄。言ったじゃん俺、これからは自分のために使いなって」


「これだけはずっと前から約束してたの…!」


「なら逆に向こうが約束を守ってくれたこと、あった?」


「っ…」



「ないでしょ」という、確信を持った返事が当たり前のように返された。


冷たいけれど、そのとおりだ。

いつもいつも私ばかりで、勝吾くんが守ってくれた約束なんか1度だってない。



「ここで見たこと、忘れたとは言わせないけど」


「…おぼえてる、よ」


「だったら分かるんじゃないの。あのときの苦しさを、金をかけたプレゼントを渡したときだけに言われる“ありがとう”なんかで消したら駄目ってことくらい」



フェンス、そこから見える渡り廊下。

仲睦まじそうにじゃれあっては、深い深いキスを交わしていた。

ここで見ている私たちのことなど、一切考
えもせずに。


だからこれを渡すことは、今までの私とは何も変わっていないということだ。


バイトも減らせばいい。

「やっぱり学業と両立できそうになくて……」って、来月から元に戻してもらおう。