これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





うそ、本当にいた……。

屋上の端に置かれているベンチの上、黒いリュックサックを枕にして仰向けに寝そべっていた1年生。


首を押さえながら起き上がる姿なんかはもう、雑誌の1ページ。



「少し時間が空いたから…いるかなって」


「ああ、結局は戻んのね」


「へ…?」


「なんでも。…でも今は俺のために来てくれたってこと?」



こくりと、大人しくうなずく。

すると三好くんは「おいでよ」と、どこか甘い顔で見つめてきた。



「ゴミクズ野郎から誘われたの?」


「え?」


「一緒に帰ろうって」


「あ、…うん」



そばまで近づくと、ぐいっと手が引っ張られる。

そのままトスンっ。
三好くんのお膝の上。


背中に回った手に「ひゃ」と、なぜか予期せぬ声が漏れてしまった。



「珍しーじゃん。いつもそんなことあった?」


「…今日は…、特別な日だから」


「特別な日?」



私が彼に物をプレゼントする日。

言葉にするとつらさが倍増するため、口をつぐむ。


どうにもそれが三好くんにとって“隠し事をされた”と受け取ってしまったらしく…。