これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





「い~ち~の~せ~?ずっと下向いて具合でも悪いか?それともそんなにスマホが楽しいか?俺の授業より楽しいかそうか」



そんな意識を呼び戻してくれたのは、英語担当の担任教師。

サァァっと、全身の血の気という血の気がおぞましいくらいに引いてゆく。



「あっ!やっ、ごっ、ごめんなさい…!もう触りません!!先生の授業がいちばん楽しいです……!」


「…冗談で言ってみたつもりだったが本当だったとは。おまえ、正直すぎて損するタイプだろ」


「え…」



クライスメイトたちの笑い声。


《待った今のナシ。忘れて》と、既読したあとに取り消されて追加されたメッセージに対する返信はできぬまま。


でも、変なの。

メールですら勝吾くんより三好くんと話していたほうが楽しいだなんて。



「いい?桜乃。なにがいちばん正しいのか、よーく考えて」


「…うん」


「じゃあまた明日ね」


「うん。…またね」



教室に私を残して、ギリギリまで忠告してくれたともちゃんは帰っていく。


きっと神様も馬鹿な女だと思っているだろう。

何ひとつ返ってきたことがないのに尽くして、裏切られて、どこまで馬鹿な女なんだって。