「わざわざ着飾る必要なんか…ないのに」
着飾らなくったって、いいのに。
どうして元ある綺麗なものに新たに加えてしまうんだろう。
そうすることで本来のものを隠しちゃう場合だってあるのに。
「それは俺だって言いたい」
「え…」
スースーしていた首に、パサッと髪の毛が落ちてきた。
ひとつにまとめていたものがふわっと散らばる。
「えっ、どうしてほどいちゃったの…!」
「わざわざ着飾る必要ナシ」
「でもこれはともちゃんがっ」
「もう十分見れたから」
満足そうにしている三好くんは、いったい何を言っているんだろうか。
話が噛み合っていないような気がする。
元から邪魔になるほど長くはなかったけれど、これから動くってときにほどいてしまうのは間違ってるよ…。
《まもなく女子バスケが始まります。選手の皆さんは体育館へ集まってください》
あっ、行かなくちゃ…!
ベッドから立ち上がった私を「センパイ待って」と引き留めた軍人さん。
「───よし、行ってらっしゃい」
それは、彼がずっと首にかけていた黄色ハチマキ。
私の頭にも巻かれている同じ色がもうひとつ、今度は首にかけられた。



