これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





仮装をした他の選手たちからも「まじ走りづれえ!」と文句が飛び交っていたから。



《大丈夫?》


《じゃない。いま保健室》


《先生はいないの…?》


《競技見たいって言ってたから、行ってきていいですよーって言ったら出ていった》



……つまりそれはどういうことなの。

先生がいるなら先生に任せたほうがぜったい良いのに、逆に三好くんは追い出したという…こと?



「…行かなきゃ」


「え、桜乃?」


「勝吾くんは私じゃなくても…きっと1位、取るから」


「へ…?ちょっと桜乃!」



ともちゃんをその場に残して、立ち上がった私は校舎へ走った。


私なんかより三好くんのほうがたくさんの苦労があるのかもしれない。

“なつセレカップル”

そう呼ばれることも、本当は嫌なんだって。



「遅いよ」


「えっ、ごめんなさい…」



保健室に到着すると、3つあるうちの奥のベッドに腰かけている男の子がひとり。

本当に保険医の先生は留守にしているみたいで、ふたりきりだとやっぱり緊張してしまう。