これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





そんなものなのかな…。

私はあの日、屋上で、ひとりの女の子と勝吾くんが楽しそうに話しているだけで胸が張り裂けそうなくらいに悲しかった。


いちばんは、そのあとの……キスだって。



「っ…」


「桜乃?」



ぶんぶんと勢いよく首を横に振って、せめてあの情景だけでも脳内から追い出す。

ともちゃんには「なんでもないよ」と誤魔化して、ぐっと唇を噛んだときだった。



「きゃーーーーっ!!!」


「やばいっ、写真っ!いやそれは盗撮になるから肉眼に保存しよっ!?」


「まって、うそっ、あんなの聞いてないってば…!!」



女の子たちの悲鳴が、彼がグラウンドに姿を現した合図。


同学年も、先輩も、後輩も、三好 奈都という1年生の男子生徒に釘付けだった。

なかには女の先生さえもため息を吐いてはうなずいているような。



「…軍服…だ」


「あっれは……いくらなんでも反則でしょー」



私は恐竜とかの着ぐるみを想像してたんだけど───と、私の隣でともちゃんは軽く笑う。