「桜乃、ハチマキ曲がってる」


「えっ、ほんと…?」


「ほらさっさと来いや。髪も整えてやんぞ」


「あ、…お願いします」



ともちゃんの気合いの入りようは、飛び出た素が分からせてくれた。

運動部に所属しているクラスメイトは円陣を組んで、文化部に所属している子たちはカメラを持って準備万端。



「ねえ、できたー?」


「まだ!動かないでって!お団子は意外と難しいんだからっ」


「てかお前っ、補欠のくせにリストバンドしてどーすんだよ!それにジャージ腰巻きとか格好つけすぎだっつの!」


「いいだろ別に!シンプルにモテたいんだよ!!」



そのほかの女の子たち、男の子たち、なぜか違う意味で盛り上がる。


今日はそんな、体育祭当日だ。


私といえば、ともちゃんに半ば強引にもチームカラーである黄色ハチマキを頭に巻かれ、いつもは下ろしたまんまのミディアムボブも、ちょこんと跳ねたポニーテール。



「首がスースーする…」


「可愛いよ?明日からもこれでいいんじゃない?勝吾びっくりするって!」


「…勝吾くんは障害物リレーに出るんだって」


「へえ~」