これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





じゃあ俺、バイトあっから───と。

戸惑うクラスメイトらしき生徒を置いてきぼりにして、勝吾くんの声だけが消えていった。



「……私も変われたよ、勝吾くん」



だからあなたもきっと、変われる。

自分の弱さとズルさに気づいて認めることができたとき、人は変われるんだ。


軽くなった心と足取りで、私は重い扉をガチャリと開けた。


サアッと爽やかな10月の風が髪を揺らして、恵まれた青空に気分が心地よくなる。



「やっぱり数学は自信ないけど…、英語は思ったよりできた気がする」



赤点にだけはならない精神で毎回挑んではいるけれど、もう高校2年生の2学期。

そろそろ自分の進路を見すえた勉強方法をしていったほうがいいかもしれない。


青空に誘われるように、フェンスへ近づく。



「…………」



思えばここから始まった。


最初は地獄のような光景で、逃げたくて仕方がなくて。

気のせい、なにかの間違い、そうやって自分を誤魔化そうとして後ろ向きだった私に。


もう逃げんな───そう言うように無理やりにでも頭を押さえられちゃったんだっけ。