これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





階段下から聞こえた、男子生徒たちの会話。

誰と誰が話しているといった詳細に、というよりは、たったひとりの名前だけに私の動きは止まる。



「一ノ瀬さん並んでたの、オレ見たんだぜ?だから買ってもらったの知ってんだからな!」



そうだよ並んだの。

開店時間前からね、男の人ばかりに混ざって並んでた。


あのときの私はそれが優しさだと勘違いしていて、間違った精いっぱいで。



「…持ってるけど、買ってもらったけど、開封すらしてねーわ。それに、もう当分はやらねえって決めてる」


「は…?なんでだよ!クソ面白いらしいってのに!」


「自分で買えもしねえ奴がやる資格なんてねーんだよ。ましてや、いちばん大切にしなきゃいけなかった子を傷つけまくって……、
そんなことしかできなかった俺に、ゲームなんか勿体なさすぎる」



私が好きだった彼だ……と。

確かに、1度でも惹かれた男の子だと。



「…勝吾…?おまえ、なんか変わったな」


「…変わったんじゃない。本当の優しさを前にして、自分のクズさ加減を思い知っただけだ。……だからいい加減、俺は変わらなきゃ駄目なんだよ」