これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





「あっ、ごめん桜乃…!私ちょっと職員室に用があるんだった!先に行っててくれる?」


「え、私も手伝おうか…?」


「へいきへいき!すぐ行くから!ほんとごめーん!」



屋上へつづく階段の手前、ともちゃんは思い出した用事を優先させるためクルッとUターン。

とくに急ぐ様子もなく向かっていくともちゃんは、ピタリと足を止めて、振り返った。



「本当の優しさは目に見えるもんじゃないからねっ」


「え…?」


「ふははっ、桜乃の優しさがようやく伝わってくれたか~!明日からが楽しみだなおい!!」


「………」



それだけ言って、ともちゃんはスキップするように私から離れていく。


なんのことを言っていたんだろう…?

それにともちゃん、そっち職員室じゃない…。


疑問に思いながらも階段をひとつひとつ上って、あと少しでドアにたどり着く───またもや手前。



「勝吾~、そういやあの新作ゲットしたんだろ?オレにも貸せって!」


「あっ、ずりーぞ!!次は俺だっつの!なあ勝吾!!」