これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





甘いものしか食べない、なんて周りには言ってるけど。

本当はそうじゃないことだって俺は知っている。


塩辛いスナック菓子だとか、エナジー系の炭酸ジュースだとか、わりと男のような趣味をしていること。



「ちょっと待って、いきなりスナック菓子はよくないかも。まずお粥食べて薬飲みな。市販のだけど買ってきたから」


「…なつくんお父さんみたいだよ。うるさい」


「は?せめてお兄ちゃんとかにしてよ」


「やだ。口うるさいお父さん!」


「なら、それこそお父さんの言うこと聞け。この先ろくでもない男を選んだ場合は怒るからな」


「……うん」



たぶんセレナが俺に重ねていた愛情は、こういうものも含まれていたんだろう。


兄のように自分のそばにずっといてくれて、ときに父のように叱っては心配してくれるような。

どんなことをしても見捨てられないそんな安心を、きっと俺に求めていたんだ。



「…もう、いーよ。なつくん」


「え…?」


「もう、あたしのために頑張らなくていい」



頑張っていた。

俺は、俺なりの精いっぱいでセレナを救いたかっただけ。