これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





「あたしが頑張って守ってきた居場所をっ、どうしてなつくんが壊すの…っ」


「…俺は、セレナの誰よりの理解者でいたいから」


「…り…かいしゃ……?」



床に転がっていたマスコット。

俺はそっと拾って、ベッド脇にしゃがみかける。



「セレナ。これから俺が言うこと、ぜったい聞いて。これは命令だから」


「…は…?」


「もう自分を安売りするな。自分の身体を雑に扱うのもやめろ。もっと自分を大切しろ」


「…なに…、それ……」



しっかり目を見て、伝える。

揺れる瞳がゆらゆらと俺を捉えて、どんどん表情を歪ませていった。



「もうところ構わずいろんな男と会うな。お前は追いかけられる恋じゃなく、追いかける恋のほうが合ってる」


「なにその上から目線…っ」


「わかった?」


「むりだよ…、あたしにはなつくんがいてくれないと…っ、無理だもん…っ」



「いるよ」と、セレナの手にぎゅっと握らせたわんぱんだ。

それを見つめたセレナは隠すことなく涙を落としてゆく。



「これすごいんだよ。持ってるだけで俺がずっと見守ってるんだ。…そうでしょセレナ」


「っ…」



このわんぱんだは、俺の代わりなんだ。

セレナがずっとずっと俺だと思って大切に持ちつづけてくれたもの。