これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





変わっているのかな、変わることができたのかな…。

叶わなかったとしても、私の人生においてかけがえのない出来事になって。


それが優しい行いならば、きっといつかどんな形であれ、花を咲かせてくれる。



「あのね、1200円のわんぱんだ。三好くん“ありがとう”って言って受け取ってくれたんだ」


「1200円とか高っ!!ええ~!あの三好 奈都が!?すごいじゃん桜乃!学校の女どもが知ったら発狂ものだよ?」


「うん。…ちょっとでも優しさを渡せたから、うれしい」



ともちゃんはこう言ってくれた。

三好 奈都が桜乃にどんな顔を見せてたか、またこっそり教えてね───って。



「ふふっ、教えたくない」


「あーもう!でも、そりゃそうよね~?それが恋ってもんだよね!」


「うんっ」



それからともちゃんは伊武くんと駅に向かっていって、私は住宅地へと入ってゆく。

色が戻りつつある帰り道は、上を向いて歩くことができた。



「お母さん遅くなってごめんね。あのね、ともちゃんと───…、」



その日、玄関に。

私のものでもお母さんのものでも、お父さんのものでもないスニーカーがあった。