これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





「バイトはいつものことだし、私は昔から人よりちょっとだけ歩くペースが遅いから……そこは、仕方ないって思ってる」


「そんなことない!!それってみんなそうじゃんっ、みんなそれぞれ足の速さだって違うし!ねえ伊武くん!」



ともちゃんに振られて、すぐにうなずいた伊武くん。



「うん。身長も違うし、体重も顔も違う」


「性格もっ!好きな色や嫌いな食べ物、字だって、それぞれみんな違うもんね?」


「逆に同じだったら怖いよな。コピー人間」



そんなふたりの会話に、またここでも心が軽くなって温かくなって。

伝わってくる優しさは本物だった。



「───…失恋、しちゃって、」



あれを失恋と言っていいのかは分からないけれど。


確かに、恋だった。

私は三好くんに、恋をしていた。



「相手がいるのに好きになっちゃって…、ダメってわかってたのに、好きになっちゃって……、それで…、それで…っ」



ぽたっ、ぽたっ。

ごしっ、ごしっ。


流れるだけ拭っても、また流れる。