人生は種まきみたいなもので、その人がどんな種を蒔いたかで、そこにどんな花が咲くかが決まってくる。
悪行を働いた人は、もちろん花なんか咲かない。
むしろそれは自分自身で知らないうちに枯らしているようなものだ。
けれど、優しさを蒔いたなら。
それはきっと、いつか、何よりも綺麗な花を咲かせて、まずは自分を笑顔にする。
「実はな、お父さんは高校を1度中退しているんだ」
「…え?」
「話していなかった理由はもちろん“恥ずかしい”なんて理由じゃないぞ。
それはとくにお父さんの人生のなかで、悪く影響するものじゃなかったからだ」
お母さんの腕の力が少しだけ優しくなると、今度はお父さんも同じように目線を合わせてくれる。
「そのあと通信制の高校を出たよ。でも俺は逆に、その経験がその後の人生を良くしてくれたと思ってる」
家庭の事情で昼間の学校に行かない選択をして、働きながら通っている人。
もうずっと大人になってから、高卒資格を取るために通っている人。
全日制の高校へは行けなかった何かしらの理由があって、自分のペースでゆっくり学んでいる人。
かつてお父さんは、そんな様々な人たちを見てきたという。



