これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





“私にとっての精いっぱい”は、いつからか、“誰かにとっての恥ずかしい”になっていた。



「だってみんなはできるのに…私はできなくて、みんなと同じペースで歩けなくて…っ、
なんで、なんで私はできないのって…、いつも、いつもっ」


「…うん」



馬鹿にされているんだろうな、呆れられてるんだろうな、なんでこんなこともできないんだって。

高校生にもなって恥ずかしいって、病気なんじゃないの?って。


そう思われてることすら、私という人間は、言われるまで気づけないのだ。



「お母さん、かなしい……っ」



────かなしい。


そうだ、私は、悲しかったんだ。

ずっとずっと、悲しかったんだ。



「…かなしいね、つらいね」



優しく繰り返されてまた、自分がずっと抱えていた気持ちを再確認する。


前に、勝吾くんのゲームを買うために店長にシフトを増やして欲しいとお願いした。

店長はそのとき「助かる」と言ってくれて、増やすと言ってくれたけれど。


けっきょく、けっきょく、本当は、増やされてなんか無かったんだ。


それは間に合ってるから、じゃない。

増やしたい場合は言ってくれって、他の従業員にはよく言っていたから。