これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





わかっているよ。


どう見たって、高田さんと私が並んでいたら、誰だとしても彼女を選ぶ。


私は人より優れているものも、誇れるものも、何ひとつ持っていないから。

むしろできないことばかりの私は、普通よりずっとずっと劣っている。



「それにナツくんだって可愛い女の子のほうがいいでしょ?恥ずかしくなくて!一ノ瀬先輩もそう思いますよねえ~?」



キスが、忘れられない。

路地裏、この屋上。


こんなこと言ったら悪いけれど、勝吾くんと交わしたファーストキスはどこかに飛んでいってしまったみたいに。


いま目の前に座っている彼とのものが、私のファーストキスだと思っても許されるならば。

なんて、なんて、幸せなんだろう。



「一ノ瀬先輩?聞いてますー?」


「……あ…、うん…、そう、だね」



こんな私の良い部分を見つけてくれて、こんな私を“すごい”って言ってくれたのは君だけだ。


本当の愛がどれだけ温かいのかを教えてくれたのだって。

知らなかった世界をたくさん教えてくれたのも。


ああ、これが……恋だったんだ。



「……お似合い、だなあ」



ぽつりと、私はつぶやいてしまっていた。