これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





地面のコンクリートに座った私の目の前、美男美女カップルが購買で買ったパンを分けあって食べていた。


地獄という場所が本当にあるのなら、たぶん今なんだろう。

視界に入れたくないけれど下を向いてしまったら零れてしまいそうだから、泣くよりマシだと自分に言い聞かせる。


ここで泣いちゃったら、それこそ惨めすぎる。



「そういえば一ノ瀬先輩は勝吾先輩と仲直りできましたー?」



前に職員室で見た顔と、今の顔。

どれが本当の高田さんなんだろう。



「…別れ、ちゃって」


「え~、そうだったんですかあ。それは残念ですねえ~」



残念、ですね……って。
そのきっかけを作ったのはあなただ。

どうして、どうして、どうして。



「それにしても、あんなウワサ立てられて困っちゃったよねえ本当に!ねえナツくん」


「………」


「ナツくんとあたしは小学校からの仲だし、そんなパッと出てきた女にナツくんがなびくわけないのに!
たとえあったとしても、ナツくんは可哀想な子とか浮いてる子とかを放っておけなくて優しいだけだもんね~」