彼は私を、手放すほうに選んだ、ただそれだけのこと。
私を手放したことで、高田さんを大切にする気持ちを改めて実感したというだけ。
わかっていたはずだ。
このゲームはこういうものだって。
私が三好くんを同じように利用することができなかっただけで。
最初から愛が存在しなかったのは、私と勝吾くんというだけ。
三好くんと高田さんには最初から本物が備わっていて、存在していたんだ。
だからきっとこれは誰もが納得する、私も受け入れるべき正しい結果なのだろう。
「っ……、うぅ…っ」
ルール1. 浮気した“ふり”をすること。
ルール2. ただし優先順位は本当の恋人。
ルール3. 絶対に本気になってはいけない。
これはあくまで逆転劇をするためのゲーム。
「くる、しい…っ、くるしい、」
ただ単に私が勝手にルールを守れなかっただけ。
それからもちろんプールだけじゃなく夏祭りも一緒に行けぬまま、彼の笑顔も声も過去に置いてきたまま、2学期が始まった朝。
校内は、またまたビックニュースで溢れていた。
前回の噂はただのデマ。
なつセレカップルを恨む人たちの嫌がらせだった───と。