これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





「───お。本当に来てくれた」



翌日、放課後。

折り畳み傘を手にして向かった屋上。



「これ、ありがとう。すごく助かりました」


「別にいーよ。こうして俺は“きっかけ”を作れたわけだから」


「きっかけ…?」



昨日とまた、まとう何かが違う。

後輩のはずだけど敬語は取っ払ってしまったみたいで、昨日には無かった生意気加減というのだろうか。


なんというか…そーいうものが追加されているような。



「あっ、私バイトに行かなきゃなので。じゃあ…それでは」


「待って、そろそろだから。…あ、来たっぽい」


「え?」



すると彼は屋上フェンスに身体を預けて、顔だけを私に向けてきた。

誰かと待ち伏せていたのかと、私はキョロキョロあたりを見回していると、軽く吹き出した後輩に手招きをされる。



「面白いもの、見たかったんでしょ?センパイ」



そんな姿も様になってしまうのだから、美形な人間は得だと思う。

吸い込まれるように、引き寄せられるように、私もフェンスに近づいた。



「え……?」