「……わんぱんだ」
「いろいろ大変だったんだけど、できるだけ忠実に…作ってみたよ」
いろいろ大変だった。
ほんとうに、大変すぎた。
最後の最後でとんでもない味にしてしまうところだった。
「これ食べるの勿体ないって」
「え」
「写真撮ってい?」
「…うん」
そこだけは自分の手を使った三好くんは、私が持つクッキーをスマホカメラに写す。
カシャッ、カシャッ。
何枚か撮ってくれているみたいで、その伏せられた切れ長の瞳と長いまつ毛にただ見惚れてしまっている私に。
気づいたときにはほら、カメラが向けられている。
「えっ、わっ」
「笑って」
「わらっ…」
カシャッ───、
それも待ってくれない三好くんは我が道をゆく王様だ。
するとその王様は、あー、と、口を半開き。
「わ、私が…そこに?」
こくっと、ひとつで答えてきた。
こんなに甘えん坊だったんだと、やっと今になって年下感が見られた気がするのに。
やっぱり翻弄されている気持ちのほうが大きい。



