これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





のそっ、のそっ。

ゆっくり、ゆっくり、スロー、スロー。



「おっそ」



と言ってくれた声は優しかった。


私が亀さんチームだとすれば、三好くんはウサギさんチームなのかな。

でもいつも私の手を引いてくれるから、だとすればすごく優しいウサギさんだ。

敵対心は無いどころか、むしろ協力もしてくれて。



「センパイ」



引き寄せられる。

その声と目だけで、私はこうも簡単に踏み入れてしまう。


椅子に座った三好くんが見上げてきた。

膝と膝のあいだに挟まるように立つ私を、見上げてくる。



「く、クッキー、作ったんだ」


「クッキー?ああ、なんか家庭科室あたりがすごい甘い匂いだったと思ったらそれね」


「これ…三好くんに、作ってね、」



喋れる。

普通に、なんとか、喋ることができる。



「開けて」



この人は自分の手を使わない気だ…。

一応ラッピングまでした小袋を目で楽しんだ三好くんは、次の命令を言ってくる。