これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





「っ…!!」



作戦、失敗。


ゆっくりうしろに足を動かした瞬間に取られた腕。

いつも柔らかで甘い音を出す高田さんとは思えないほどの力だった。



「好きなだけ貸してはあげるけど、貰えると思ったら大間違いだから」



大きな執着が、人形を動かす糸となって彼を縛っている。

それを動かして操作している女の子は私に低く冷たく言い放っては、薄ら笑いを浮かべていた。



最高でしょ?
あたしのナツくん(人形)は───。



その表情だけで放心状態の私に隙間なく釘を打って伝わってくるものは、小さな子供を諭(さと)すようなものにも似ていて。


怖く、なった。



「…どーも」


「……ど、どうも」



クッキーを手にして向かった多目的室。

心を落ち着かせてから向かったため連絡した時間より10分は経過していたというのに、今日の彼は拗ねた顔は見せなかった。


奥に寄せられている椅子に座っている三好くんと、ドアを閉めたすぐの場所にて立ち止まる私。



「こっち来なよ」


「あっ、うん…」